小脳マシンインタフェースを利用した運動学習と単一Purkinje 細胞活動間の因果関係評価
小脳マシンインタフェースを利用した運動学習と単一Purkinje 細胞活動間の因果関係評価
カテゴリ: 研究会(論文単位)
論文No: MBE11133
グループ名: 【C】電子・情報・システム部門 医用・生体工学研究会
発行日: 2011/09/21
タイトル(英語): Evaluation of the causality between motor learning and single unit Purkinje cell activities by using a cerebellum-machine interface
著者名: 片桐 和真(中部大学),田中 良幸(中部大学),平田 豊(中部大学)
著者名(英語): Katagiri Kazauma(Chubu University),Tanaka Yoshiyuki(Chubu University),Hirata Yutaka(Chubu University)
要約(日本語): 身体運動の制御と学習の中核は小脳が担っている. 小脳皮質神経回路を構成する細胞タイプのうち, Purkinje 細胞(PC)は唯一小脳外へ軸索を伸ばす出力細胞である. これまでの研究により, PC の発火頻度は, 筋系を駆動するための運動指令をコードしているものと考えられている. したがって, 運動の学習はPC 発火頻度パターンが変化することにより実現されるものと考えられる. こうした知見は, 主に動物を用いた行動実験とPC 単一神経電位計測により得られたものである. しかし, このような実験では, 神経細胞活動変化と行動変化の間の相関関係を評価できるのみであり, 単一の神経細胞活動が運動制御や運動学習に果たす役割を直接評価することは困難である. 本研究では, こうした従来のシステム神経生理学的手法の限界を超え, 小脳神経活動と運動学習の間の直接的因果関係を評価するためのスキームを提案する. 提案スキームは, 前庭動眼反射(VOR)の運動学習を例に, 金魚の眼球運動制御を担う前庭小脳PC の単一神経活動計測を行い, ブレイン・マシンインタフェースを介して直流モータを制御するものである. この時, 直流モータの制御誤差をVOR運動学習を駆動する網膜像のスリップ信号として金魚に与える. この系により, モータ制御の精度向上は, 記録中のPC 発火パターン変化に直接関連付けらる. 動物実験の結果,VOR 運動学習に関わると仮定されてきた記録中の単一PC の発火パターンが徐々に変化し,直流モータの運動誤差が適応的に減少する事が示された. この結果は, 単一の小脳PC 発火パターンの変化と運動学習の間の直接的因果関係を初めて示したものである.
原稿種別: 日本語
PDFファイルサイズ: 825 Kバイト
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